繰り返すつぶやき ━ 去年は何を着ていたっけ?

秋物の洋服が欲しくてデパートに出かけた。

シーズンが変わるごとに、毎回のように思うこと。 (去年は何を着てたっけ?)

一応、何かしらを着て毎日生活していたはずなのに、去年の今頃着ていた服が思い出せない。

洋服を買いに出かけよう、と、クローゼットをのぞいて、着るものがない、と迷ってしまう。

結局、昨日は夏を引きずったようなワンピースに長いはおり物、というコーディネートで出かけたが

季節を取り遅れた自分のファッションが恥ずかしく、デパートの売り場にいてもこのまま帰ってしまいたい衝動に駆られることになった。

こういう時、「いかがですか? これは今朝入荷したばかりなんですよ」と笑顔満面でショップ店員さんに声をかけられると

逃げるタイミングを逃してしまって、

私は恰好の獲物になってしまうのだ。

対して好みでもない、その『お薦め』のスカートをもって試着室に入る羽目になる。

フィッティングルームで、一人になって値札を確認。

心の中でため息をつきながら、ゆっくりと着替えていると

「いかがですかぁ~」とかかる声。

ドアを開けて外へ出ると

「とてもお似合いです」

「この色はこの秋の流行なんですよ」

「背がお高いのでとてもすっきり着こなしていただいて」

「ほんとにお似合いです、このまま着て帰っていただきたいくらい」

矢継ぎ早にほめ言葉が降ってくる。

この場から逃げるためには、どうしても欲しいわけではないこのスカートを買う以外に道はない。

(しょうがない、これくらいならいいか…… そう悪くないデザインだし)

言い訳と解っている言葉を声を出さすにつぶやいて、

「ありがとうございました、またお待ちしています」

の声に送られてその売り場を後にする。

こんな洋服の買い方をしているから、

きっと来年の今頃も、私は思っているんだろう。

去年は何を着ていたっけ……